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十日が経ち、周囲の人間の顔と名前はしっかり一致したので、賑やかそうな気配にひかれて、結社に所属してみることにした。また、新しい顔と名前とを覚えるところから。

「順調順調。」のみで主に送った知らせには、スクロールバーが五ミリを切りそうなくらいの返事がきていて読む前に閉じた。あとでじっくり読むことにする。覚えていれば、だけど。
既に少しずつ強くなり始めた陽気には辟易している。俺は生まれも育ちも転々としてはいたが北の方だ。まだ過ごしやすくはあるが、夏が憂鬱だなと思う。
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4.7
銀誓館学園に従属種ヴァンパイアがやってくる、という話は、それなりに歓迎をもって受け入れられていたようで、特に困ることもなく一生徒、一能力者として馴染むことができた。
新学期でちょうど良い時期だったらしい。頃合を見たのは俺でも俺の主でもなく、「アル君」達なんだろうけど、ありがたい。大量の新入生を何事もないことのように受け入れたこの学園の規模には少々驚かされたが。

柔らかく暖かく、適度に無関心(つまるところ、慣れからくる良い距離感の保ち方を知っているのだろうな、と俺は感じた)な宜しくね、に応えた時にとりあえずはここが俺の居場所になった。

廊下を歩いた時、目が合った女の子がすぐに俯いて立ち去った。
暫くして、彼女が人狼だと知り、そういうこともあるか、と納得した。
矜持を弄ばれた誇り高い生き物とは、いつか友人になるのだろうか。
平穏な一日目だった。
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